子どもの好き嫌い① 〜お口の状態〜

離乳食

今回は子どもの好き嫌いについて。

 好き嫌い(偏食)は嗜好の問題と捉えられがちですが、それ以外にも考えられる要因となるものがいくつかあります。
 
 できれば食べてほしい。なんでもいいから食べてほしい…!
この切実な想いに応えられるのは根性論や「無理せず食べれりゃなんでもいい論」でもなく、構造を理解してアプローチする引き出しを増やすことだと思っています。

 大前提として、私がウンチクよりも大切だと思っていることは…  

「自分がどうされてきたか」を安易に適用しないこと。
「いま目の前にいるこの子」を見るその視点を持つこと。

 

 子どもの好き嫌い(偏食)については、 

好き嫌いに対する大人の価値観

・好き嫌いに理由はないか? 
(心身の状態によって偏食が起こる場合もあります)

 ここを見逃すことはできません!

好き嫌いに対する大人の価値観   

 私たち(30代中頃)の子どもの頃は、当たり前に「お残しは許しまへんで〜!」の時代でした。

給食時間、牛乳が嫌いで飲めない子は昼休みも掃除時間もぽつんと残って終わらない給食。
牛乳とごはんと味噌汁を勝手に混ぜられる事例も数多く聞きました。       
 

 もちろん牛乳だけのことではありませんし、同じような関わりがあった家庭もあることでしょう。 出されたものに嫌いなものがあったとしたら 
 
 「我慢してでも食べなさい」 
 「作ってくれた人の気持ちを考えなさい」
 「好き嫌いがあるのは大人になってから損するよ」
 「身体にいいから食べなさい」   などなど…

 
 理不尽な理屈を押し付けることを『教育』だと誤解した大人が多かった時代。
もちろんそうでない大人もいたことでしょう。


 「食べ物を粗末にしてはいけません」
 「感謝して食べなさい」
 「食べ物がなくてお腹を空かせている子どもがいるのよ。その子たちの前で同じことができる?」
 「好き嫌いはワガママです」

 そういう言葉もあったかもしれません。  
      

  好き嫌いが多いお子さんの親御さんに対する言葉も厳しかった。
 
 「お料理の工夫をしてみてはどうですか?」
 「料理が下手だから好き嫌いをする」
 「愛情が足りないのでは?」
 「甘やかすのは子どものためになりませんよ」    

 あぁ、なんて傷だらけのラプソディ。

 もしかしたらここまで読んで心がざわめいている方もおられるかもしれません。
私は書きながら古傷を懐かしく見ています笑      

 上記に連ねたセリフは、誤解から出来上がった価値観に縛られているがゆえの誤解の上塗りとも言えます。

 時代は変わり、『嫌いなものがあっても本人が能動的に食べるまで見守り、決して無理強いはせず、好き嫌いを克服するよりも”楽しい食事の時間にすること”がなによりも大切で、その環境をつくるのが大人の役割』だと言われるようになりました。

 私は、これが当たり前の現実であってほしい。そのためにできることをしていきたい。

 そう感じています。    

 

 

ここからは好き嫌いの理由として、要因となるものをみていきましょう。

お口の環境

そもそもちゃんと食べれる状態のおくちですか??

 ここですね。  
・虫歯、歯茎の腫れ、噛み合わせ(歯並び)
・歯ぎしりや食いしばり

・口腔内の過敏
・不十分な唾液の分泌 
 おくちの中だけでもこのくらいは考えられる要因があります。

虫歯

 虫歯によって「食べる気持ちが湧かない」という場合があります。      
虫歯や歯茎の腫れがあったらそりゃ痛いから噛むのは嫌だし、食べたくなくなるのも当然ですよね。
 ここは子どもたちの反応からもわかりやすいところかなとも思います。
 
 「歯医者と恐怖」が結びついているとギリギリまで隠そうとするかもしれません。
音や光、口腔内の感覚の過敏さや嫌な記憶があると歯医者は特に抵抗があるでしょうね。。。
 
 噛み合わせや歯並びの問題で「噛む」ことに違和感を感じている場合もあります。
とはいえ、「違和感があるのが平常運転」なので、噛みやすい状態を知らないこともあるんです。


 噛み合わせがずれていると姿勢の歪みがあるともいわれています。
歯列、顎関節、咀嚼筋群、重力これらのバランスが保たれていることが大切です。

これはもちろん大人も同じです(^^)

成長発達の過程のなかで自然と体得するはずだったものが、環境の変化などで得難いものへと変わってしまいました。

歯ぎしり

 歯ぎしりは下顎を左右に動かすことで上の歯と擦り合わさる横方向の動き。
食いしばりは上下の歯を噛み締める縦方向の動き。
 
 歯ぎしりや食いしばりは大人でも自覚がない場合がありますが、子どもの歯ぎしりや食いしばりは大人が気付いてあげることができますね。

 寝ているときに歯ぎしりをしていて乳歯がすり減っている
この場合、おくちを「あーーーん」と大きくあけることが困難になっていることがあります。
こわばってお口が開かなくなっちゃうんですよね。
 
 この時点ですでに顎はくたびれていますのでモグモグする余力なんてないことも。
「食べるのしんどー…」ってなるわけです。

だとしても、それを言葉で表現することは難しいでしょうし、自覚していない場合がほとんどです。

「食べるの疲れた」と言っても、そのままの意味で受け取ってもらえることも残念ながら少ないでしょう。

 
 ぜひ「あーん」とおおきく口を開けてみてください。顎関節がかたまってませんか?? 

  食事や唾液を飲み込むとき以外は上の歯と下の歯はくっつかず数ミリの隙間(安静位空隙)があるのが正常な状態。これを初めて知ったときは衝撃でした。
 私もかつてはくっついているのが当たり前だと思っていたんです。

 上の歯と下の歯がくっついてるのが当たり前だとしたら、緊張している状態ともいえます。
お口の中のマッサージをして物理的に緩めてあげるのも気持ちがいいのでオススメですよ♡
 
 私はお風呂の中でしていますし、子どものお口のなかもマッサージしています。
もちろん嫌がらない範囲で!

 お口の中がこわばってると歯並びにも影響するといわれています。

 ですが、この場合なによりもチェックしたいのは…低血糖起こしてませんか???

 ココなのです。

 夜間低血糖と歯ぎしりの関連は調べたらいっぱい出てくるので、興味がある方は調べてみてください。当ブログにもまとめますね!
 
 ・寝汗をよくかく
 ・寝ても疲れが取れない
 ・朝起きたときの首のこわばり
 ・よく悪夢を見る
 
 お子さんに当てはまるものはありますか?
血糖値については、以前もそしてこれからも話題にしていきたい大切なテーマです。  

 子どもの飲み物やおやつを選ぶときは「甘いもの」を避け、たんぱく質と炭水化物(米や芋)の組み合わせがオススメ!
 大切なのはできるだけ血糖値の乱高下を起こさないこと。ちょいと意識してみてくださいね♡

お口の中の敏感さ

 これもまた交感神経優位で緊張が強いと起こりやすくなります。  
 
 おくちのなかが「刺激」に敏感すぎて、違和感や痛みなどを感じてしまうことがあるんです。
例えば…シャキシャキきゃべつを噛むと歯茎が疼くとか、揚げ物の衣が刺さるように痛いとか。トマトや椎茸、茄子の舌触りがどうにもぞわぞわ気持ち悪いとか。
 
 このように過敏さがない人には理解し難い感覚を感じていますし、それが当たり前だと思っている場合もあるのです。

 だから「違和感ある?」と聞かれてもピンときません。
正常時を知るから違和感がわかるんですよね。知らんものとは比較のしようがありません。

 苦手な食感や嫌いな口当たりのものはおくちに入れるのも嫌がり、例え入れたとしても吐き出してしまうでしょう。これは緊張だけでなく栄養バランスの乱れからも起きやすいと考えられています。

 低血糖状態だと緊張状態になりやすいですし、ビタミンやミネラルも消耗してしまいます。


 この場合、歯磨きが嫌いなことも多いです。
歯ブラシを変えると大丈夫な子もいれば、なにしても歯磨き拒否!な子もいます。

 お口のなかだけが過敏ということは考えにくいので、聴覚、視覚、嗅覚、触覚にもきっと過敏さがあるはずです。
 
 と、なるとそれはやっぱり緊張を緩めてあげたいですよね。    
 

唾液の分泌不足

この場合、食事中に飲み物を多く欲しがりやすいです。  

 基本的に食事中には汁物以外の水分補給は必要とせず、飲むとしてもせめてコップにかるーく1杯程度。何度もお水を飲んでいるとしたら唾液の分泌が不足しているのかもしれませんし、飲み込みがうまくできていない可能性もあります。咀嚼(もぐもぐ)がうまくできない可能性も考えられますね。

 がぶがぶ飲めば、子どもの小さい胃袋はあっという間に膨れてしまいますし、胃酸が薄まって消化不良を起こしやすくなってしまいます。


 唾液の分泌が不足する理由としては

 ・唾液の材料(たんぱく質など)の不足
 ・そもそも噛めてない
 ・交感神経が優位 (唾液腺は自律神経が支配しています) 
 これらが主なものとなります。   


 「食事中にやたら水飲むな〜」と思ったらあんかけ×たんぱく質+ほんのり嚙み噛みメニューがオススメ!
材料となるたんぱく質を十分に摂り、唾液の分泌を促しましょう。 

 嚙み噛みメニューばかりの食事は顎が疲れて嫌になってしまうので、その子の咀嚼力に合わせて食材を選ぶといいですね♡   

まとめ

ちなみに足や姿勢と歯というのは関係が深いので、そういった視点からも、また栄養的な面からも口腔から全体を診てくださる歯科医院を見つけたいものですね♡

いまやコンビニより多いといわれる歯科医院ですが、だからこそ「近いから」という理由だけで選ぶのはとてもとてももったいないことだと感じています。

決してどこも同じではありませんから、安易に削らず丁寧に処置してくださるところを選びたいところですね!



子どもの偏食にアプローチするときに要因を見ずに、あれこれ工夫したことが空回りしてしまうこともあるでしょう。
そうなると、効果が得られないことに工夫する側が疲れてしまう可能性もあります。

空回りしないためだけではなく、偏食から見えてくる身体の状態を見逃すのはもったいない!とも思います。

偏食は身体からのサインかもしれないって受け取り方をしてみると、思いもよらぬ気付きがあるやもしれませぬ。

「偏食」だけを見ると「どう食べさせるか」に視点がいきがちですが、からだはすべて繋がっているからこそ「偏食の理由はどこにある?」の視点も持っていたいなと思う次第です。

 お口の環境以外にも好き嫌いにつながる要因がありますので、それはまたの機会にまとめます。

 最後まで読んでくださってありがとうございました!
お役に立ちましたら嬉しいです。 

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